クリエイティブには「社会的責務」がある、はずが…(前篇)

クリエイターには社会的責務がある。
自分が世に送り出すものが、
社会で何の役に立つのかを考えて作りなさい。


美大のデザイン科で感銘を受けた、
故・谷口啓司助教授のお言葉。
不真面目な学生だったが、ずっしりと響いた。

けれどそんなことは吹っ飛ぶほどに
時代は長い薄利多売時代へ。
夜討ち朝駆けのデータ出稿を終えると
事務所を真っ赤に染めて朝日が昇ってきた。
ふと、ふつふつと疑問が湧いてきた。
日々追われるように作っているもの、
これはいったい、世の中で何の役に立っているんだろう?

そして実験するようにフリーペーパーを創刊。
いろんな職業の人を取材し、
さまざまな生き方に感銘を受けつつ、
その財源のためにさらに受注制作に追われていった。

「そろそろ組織化を図りなさい」と
先輩経営者諸氏の指導を受けて
試行錯誤をしていたその頃。
あまり気の乗らない案件を受けて、見事に失敗をした。

(後半に続く)

 ※(文 / 真柴 マキ )