ホラ貝売りに思う、マーケティングで大切なもの

バリ島の海岸で、ホラ貝売りにつかまったことがある。

夕陽を眺めていると、
いつからか真後ろに立っていた地元のおばちゃんに
「センエン!」とホラ貝を差し出された。
「いらない!」といっても
「ヤスイ」「センエン!」「イイホラガイ!」
「ヤスイヨ!」と、かなりの強気。

「日本人、ホラ貝使わない」「100円でもいらない」と追い払ったが、
知人は海岸でうたた寝をしている間に
勝手に小さな三つ編みを作られていたそうだ。
違和感を感じて目を開けたら、地元のおばちゃんが
「センエン!」と手のひらを差し出していたとか。

それにしても見事な売り込み力。
これでマーケティング力を身に身につければ
怖いものなしかと感心しつつ、ふと妄想してみた。

さて、何と言われたら、あのホラ貝を買っていただろう? 
・この海岸は日暮れるとすごく危ない、
護身用にみんなホラ貝を持ってて
地元では必需品だから買っておけ(←不安商法)

・明日の朝は、海から神々がやってくる貴重な日だ
ホラ貝を吹けばだれでも金運を授かるが
持っているか(←開運商法)

・いまホラ貝が品不足で市場が困っている、
市場にホラ貝を持っていけば
5000円の商品券と交換できるから
このホラ貝、1000円でどうだ(←原野商法)

なんだか悪徳商法っぽくなってきた。
そう、マーケティングには前提として
売り手が「商品」を「愛していて」
「伝えたい」「知ってほしい」という想いが必要なのだ。

売り方だけ考えても、心がないとダメ。
あのホラ貝売りは、単にお金が欲しいのだ、ということはよく伝わった。
愛があるのは伝わるけれど、愛がないことも、筒抜けで伝わるのだから。

コトバはなくても、
海岸で会う人会う人、みーんなが一人残らず
うれしそうにホラ貝を持って歩いていたら…
みんなが集まって大合奏なんて始めたら…
一緒に混ざって吹きたくなっていただろう。
ホテルにこんなお誘いのチラシがあったら
旅のノリで参加したかもしれない。

・腹の底から息を吐きだして身体をリセット!
バリ島伝統のホラ貝吹き体験教室
60分1000円/ホラ貝のおみやげ付!(←イラナイけど!)

行動を起こしたくなるほどのお誘いを
マーケティングというのだろう。

※文:真柴マキ