妄想作詞制作シーン「私はピアノ」

失恋ソングの名曲「私はピアノ」は
大恋愛中に突然振られた女が、
幸せだった日々を延々とつづり
悲しみに浸る、というサザンオールスターズの曲である。


もともとは1980年に発売された
高田みずえさんのヒット曲だが、
サザン・オールスターズバージョンでは
原由子さんが歌うメランコリーな
悶々と続く歌詞の途中に、
いきなり不思議なシーンが間奏に挟まり
こんな言葉が登場する。

「そんなこと、知るかいな」。

なぜここに!
違和感ありありの唐突感!
しかも、他人に言われる台詞ではなくて
自分でつっこんでいるのだ。
これぞ、桑田佳祐さんが作詞した感じがする。
コミックバンドといわれていた時代からかもしれないが、
作詞時のドラマを妄想してしまう。

〇夜更けのバー


終わった恋に酔って、いつまでも泣いている女。
閉店時間が迫るが、もう一杯だけ、と涙をすする。

優しく酒を供し、
カウンターの中でグラスをふくバーテンダー。

女 「私、この先
どうやって生きていけばいいの…」
男  …。(そんなこと、知るかよ。終電なくなるぞ)



これでもか、という言葉が並ぶが
歌詞を書いている途中、作詞家が急に「素」に戻り、
クールに見直して、
たかが歌詞じゃねえか、こんなもん、と
本音をふりかける姿が浮かんでしまった。

 ※(文 / 真柴 マキ )