写真撮影と動画撮影 ~ルーツは「絵画」と「演劇」~

もともとは写真をメインにしていた。時代の流れにより動画にも携わるようになったが、「写真をやってる人なら動画もできるでしょ」というオーダーが多々あった。これ、結構な無茶振りなのである。機材の違いもあるが、同じ映像でも、写真のカメラと動画のキャメラでは感覚がまるで違うのだ。
では、カメラとキャメラは何が違うのか?

写真を撮るスティルカメラは、もともとは「絵画を描くための道具」として誕生した。抽象画ではなく、遠近法を取り入れた細密な絵画を描くためである。なので根っこには動かない一枚の絵、絵画的な感覚がある。
一方、動画を撮るキャメラは、「動きのある時間を再生するもの」である。動きの始めから終わりを選んで切り取り、つないでいく。起承転結や序破急の感覚も必要だ。さらに「音」も絡んでくる。黎明期から演出も加えられていて「演劇的」なのである。
同じ映像でも、「絵画」と「演劇」では、感覚がまったく違うのだ。

スマートフォンはもちろん、最近のデジタルカメラではスティル写真も動画もいとも簡単に撮ることができる。素人カメラマンがごく普通に日常の記録を撮り、FacebookやInstagramにサクッと投稿している。そんな時代であるが、カメラマンの友人にはスティル写真専業の者が多い。プロカメラマンには職人肌の専門家が多いので、気負い過ぎてしまうのかもしれない。

 ※(文 / 福 信行 )