ステレオタイプもほどほどに① 人生設計のご提案

高級マンションの販促物を手がけていたことがある。

居住者用ラウンジとか、専用スポーツクラブとか、
コンシェルジュカウンターなどのパースを見ながら
「なんだかこのマンションの中で
生活も人間関係も人生も終わりそう…」と
妙な閉塞感をつのらせながら、
豪華にレイアウトしていたある日。

職場に生命保険の勧誘がやってきて、
初対面のセールスレディに
「○○さまの人生設計」という提案書を見せられた。
まだ午前中と思っていたはずが
いつのまにか昼が過ぎた朝顔のような
しぼんだ気分になってしまった。

26歳 結婚・車購入
28歳 退職・出産・住宅購入
30代 子育て・教育費用
48歳 子供の成人・夫人系の手術
52歳 子供の就職
55歳 夫婦で海外旅行
57歳 子供の結婚・結婚資金
58歳 親の介護・自宅のリフォーム
60歳 夫の定年退職
65歳 年金受給開始

なんだ、このステレオタイプのフォーマット人生はっ!

生保レディは、おそらく20代前半の女性みんなに
名前を差し替えて同じものを提案していたのだろう。
でもこの時代感、「これ、あなたのお母さんの人生?」

いっそ人生ゲームなら、
貧乏で子供が4人もいるのにさらに2人を養子にしたり、
カジノで大儲けしたはずが貧乏農場へ行ったり。
夫が蒸発したり、会社が倒産したり、
せっかく建てたマイホームが火事で焼失したり
台風で屋根がとばされたり
子供が自転車で対人事故を起こしたり。
「ここでこの保険が活躍します」と提案されれば
即!加入を検討していただろう。

おかげで、その時提案された人生には
はまることなくきたけれど、
怒涛の人生ゲームでもないけれど、

誰かに提案するときは、ステレオタイプもほどほどに、と思い至る体験だった。