言葉で殴り倒す寺山修司さん|書く言葉、読む言葉|言葉を扱う仕事

寺山修司さんの「ポケットに名言を」(角川文庫)より。

そのかわり私は、詩人になった。
そして、言葉で人を殴り倒すことを考えるべきだと思った。
詩人にとって、言葉は凶器になることも出来るからである。
私は言葉をジャックナイフのようにひらめかせて、
人の胸の中をぐさりと一突きするくらいは
朝めし前でなければならないな、と思った。


言葉の錬金術師、といわれる寺山修司さん。
どんな覚悟で言葉と向き合い、
言葉を扱って世に出してきたのかが
垣間見える名言である。

言葉を扱う仕事は、
それほどに、怖さをともなう仕事だから。

作詞家で作家の阿久悠さんは
笑いの言葉選びに関してこんな言葉を残されている。

「笑いは劇薬と同じである、
この薬の使用には専門的知識、
免許を必要とします、と
断りたいくらい危険なものなのである。
誰もかれもが使えるものではない。
使い方を間違えると
人を傷つけてしまうということを
今知ってほしい」


また、ほぼ日の経営者である糸井重里さんは、
多感な少年時代に父親が再婚して
義母となった人との会話で
言葉を選ぶことにとても苦労をされたそうだ。

気を使って甘えたつもりで発した言葉を
「この子は言葉にトゲがある」と取られたりして、
言葉を口にすることは怖いことだ、と思っていたという。

優しくて繊細でやわらかい言葉を扱われる印象だけれど、
言葉の持つ「怖さ」を、
わかっている人こその表現かもしれない。



 ※( 文 / 真柴 マキ )