声のはなし/2●いい声は「小さくても響く声」 

響かない声は、マイクに乗らない。
マイクの振動板をゆさぶる音圧が足りないので、
音声データで見ると、波型がとても貧弱だ。

日本語の発声は、英語や韓国語やフランス語みたいに
唇や口の中の空間を意識しなくても
口を開けなくても、しゃべることができる。
とても腹話術に向いている言語なのである。
何を言ってるのかわからない政治家の重鎮に
鼻の下が長い人が多いのは、
しゃべり方のせいで筋肉がたるんでいるのかもしれない。

この「唇と口腔空間を使わない声」は、
「音圧」、つまり空気を揺さぶるエネルギーが
足りないからマイクが拾わない。
これが「マイクに乗らない声」の原因である。


小さくてもよく響く声を「いい声」というが
声の響きを作るのは、身体の空間と息である。
音圧のある声は身体に響く場所が多い。
それは、身体をしなやかに動かして使う全身運動でもある。

身体がかたい人は、声もかたい。
肩や首や背中がカチカチに凝っていて
声だけ響く人はそういない。
声を飛ばす支えの筋肉である、
横隔膜や腹斜筋を使っていないため、呼吸も浅い。
肩凝りは日本人に特有というが、
日本語は身体がカチカチで声が響かなくても発音できるのだ。
だから日本人には肩凝りが多いのではないだろうか。

発声のトレーニング中に痛感したが、
デスクワークで長時間文字を見たり、
イラストを描く仕事をしていると、
「息を止めている」時間が長いのだ。

本当にバンドのヴォーカルだったのだろうかと
過去を疑いたくなるほど、
「響く声」への長い旅が始まった。