言葉を扱う仕事 声で表現することば、小原乃梨子さん

以前に「言葉を扱う仕事 歌われる言葉」の記事に、
歌のルーツである和歌では
相手の心を感動させることを大切に言葉を選ぶと書いた。

声でことばを表現する「声優」を仕事にされている、
大御所の小原乃梨子さんは著書に
「ことばはガラスのようなものだ、
壊れやすいけれど、人間の宝物である」と
書かれている。


不注意に取り扱えば手から滑り落ちて
粉々に割れて飛び散り、
鋭い破片で血を流すこともある。
けれどていねいに磨き上げれば、
キラキラと輝いて暖かな太陽の光も通すし、
鏡のように姿を映すこともできる。


~小原乃梨子著「声に恋して 声優」(小学館文庫)より~


小原乃梨子さんといえば、
洋画での小悪魔女優の吹き替えはじめ
『ドラえもん』ののび太や『ヤッターマン』のドロンジョなど、
誰もが耳にしたことのある声優界の重鎮である。
その小原さんのご指導を受けてみたら
なんとも和やかな場の雰囲気。
チャーミング、という言葉がぴったりの人柄だった。



エレベーターでご一緒した折に
鞄をお持ちしたら、資料でズッシリ、
ボウリングの球でも入っているような重さ!
「別の場所で指導をしてきたの、
明日は朝はやくから収録で…」
エネルギッシュというのか、
80代ととても思えない(負けている!)姿に
逆に元気をいただいてしまった。

「私の持っているものは
全部あなたたちに与えたい」という
小原さんの指導メモより。


作品の中ではいつでも子供になれるし
初恋でドキドキしている10代にも戻れる。
役の気持ちになりきること。

書かれた台詞はただの文字。
文字を読まないで。

あわてないで。
タタタタッと読まずに
丁寧にことばを届けて。

大切なのは、気持ちを込めること。


ことばは自分の気持ちを伝えるものではなく、
ていねいに相手にお届けするもの。
「気持ちを込めて…」という小原さんを思いつつ
コピーの言葉を編み出している。

 ※( 文 / 真柴 マキ )