映画「カメラを止めるな!」に「ラヂオの時間」再び

番組制作の裏側をのぞき見しているような
異例のヒット映画「カメラを止めるな!」を観ていて、
三谷幸喜監督の「ラヂオの時間」を思い出した。





制作業は「締め切り」に向かって「企画を完成品にする」仕事だ。
考えている時はワクワクするし、もちろん楽しい。
でも、制作中は結構シビアで静かな闘いでもある。



「これでいいのか」「他の言葉はないか」
「もうちょっとキャラクターの表情を動かした方が」
「いや動きすぎじゃないか」と何度も差し替えて
企画の原型をとどめていない完成品も多い。

でも、わけわからなく進んでしまって変っていくのは、最悪だ。
映画「カメラを止めるな!」と「ラヂオの時間」は、
わけわからなく不本意に変わっていくけれど
仕事としてなんとしても完成させなければいけない、
スリリングな制作現場が舞台の話である。

「ラヂオの時間」を観直してみると、
蒼々たる俳優陣の群像劇。
それも、本当にこういう人たちなのではと思えてくる
すばらしい演技力。
いろんな人がいろんな思惑で関わり、
わけわからなくなっていく展開が
きめ細やかに描かれている。
三谷幸喜監督はきっと現場で
いろんな苦い想いをされてきたのだろう。

ラジオ局写真 Kumitatetsushin


「カメラを止めるな!」も「ラヂオの時間」も
いいものを創ろう、という熱意が
へし折れる経験を数々してきた、
傷だらけのプロたちが
熱意をもって完成させた感じがする。

泣きたいほど苦い、
もう笑うしかない現場経験。
でもやっぱりいいものを創りたい!という
職業を超越した想いがチロチロと燃えている。

初めて「ラヂオの時間」を観た頃は、
まさか「音で表現する仕事」をするとは
想像もしていなかったけれど
観直してみて、井上順さんや戸田恵子さん演じる
本番収録のシーンにシビレてしまった。

 ※(文 / 真柴 マキ )