人気店になったカフェ、取材で気づいた繁盛店の秘密

これまで数々の飲食店を訪れてきたが、取材をして「なるほど」と思った繁盛店がある。
そのお店の店主は、それまで小さな印刷会社を2代目として経営されていたが、会社を畳むことになった。しかし立地が抜群で、商業地域で路面の一階と恵まれていたこともあり、カフェに業態転換をされた。異業種で飲食店の経験もなく、まったくの素人だったので「何か武器を持たないと…」と考えて「名物を作ろう」と思い至った。



その名物は「カツサンド」。注文を受けてからカツを揚げ、カウンター越しの鉄板でパンを焼く。一つひとつ丁寧に作り上げたそのカツサンドは、盛り付けも美しく、揚げたての厚切り肉とソースの相性も抜群だ。

だが、カツサンドはカツサンドである。美味しいけれど、飛び抜けて個性的、というわけではない。ましてやそのカフェ周辺には、洋食店も喫茶店もパン屋さんもあり、どちらのお店もカツサンドを扱っていた。
ただ、周辺のお店との違いは、このカフェだけがメニューに「名物・カツサンド」と明記している点だ。

マスターの人柄もあって、今やすっかり有名でファンも多い繁盛店である。数年前からはもう一つの武器「名物・アップルパイ」も加わってさらにパワーアップしている。取材対象をいつも常にリサーチしているメディア側にとっても、「名物」は取り上げやすいし、書きやすい。どの店にもあてはまる方法ではないが、名物とは「自分で作って伝える」ものでもあるのだ。